ADL支援の質を高めるために

老健のリハビリテーションは在宅生活へ戻るために必要となるADLなどの向上をメインターゲットとして、実際の日常生活の中で取り組むことが重要です。

しかし、肝心の実行状況レベルのADLへの支援はケアスタッフ任せであり、向上できるかどうかはケアスタッフが提供する介護の質にかかっているところが大きいです。また、在宅生活には不可欠となるはずのIADLに関してはケアスタッフはもちろん、リハビリスタッフも関心が低い現状があります。この状況を改善して老健において在宅復帰につながるような効果的なリハを実現させるには、ADLやIADLのリハ支援の考え方について自らに求められる役割をしっかりと認識するとともに、ケアマネジャーやケアスタッフにも伝えていくことが求められているのです。

たとえば、移乗や移動作業はADLなど活動や集団への参加などの前提となる動作です。つまり、移乗や移動を単体で捉えるのでなく、その後につながるADLや参加の諸行為の実行を支えるものとして、連動して捉えることが重要になります。このリハビリにおいてはとにかく動作自体の練習におわってしまいがちですが、何のために行うのか、実行することで何をするのかという目的を想定することが大事です。

加えて、動作後に連なるADLなどの具体的な行為との連動性と関係性をもって練習することが重要です。そして、日々の生活の中に向上した移乗と移動動作能力を発揮できる場を提供し、それが習慣化される仕組みをケアスタッフがしっかりと展開していくことが大事になります。